この世界は残酷なほど美しい



「停学になるかは分からないよ。先生、そんなこと言ってなかったしこれから決まるんじゃないかな。でも僕は停学になる気満々だよ」



「俺は流星が理由も無く殴るなんて思ってないから。何か理由があったんだろ?ほら、委員長と野中って付き合ってたみたいだし。それ絡み?」



小声で事情聴取していく蓮。
ダメだな、蓮。
キミは立派な刑事にはなれないよ。



「奈緒子は関係ないよ。ただ何となくだと思う。殴ったのは僕だし、僕が悪いんだ」




「でもなぁ、流星。残念なことにお前の株は急上昇だ」




蓮はにやりと笑って携帯を見せてきた。
そこに広がるのは動画だった。映っていたのは紛れもなく僕だった。




「……なにこれ。」




「流星が野中と喧嘩してるとこ。花音が送ってきたんだ。」



「はぁ?」



「安心しろ、流星。女子たちみんなお前に惚れたからさ。」




何を訳の分からない言葉を並べているんだ?
それよりこの動画は誰が撮ったんだよ。
勝手に撮るなんて常識はずれじゃないか。




「別にそんなの求めてないから」




「分かってないね。俺はお前が野中に言ったことは正しいって思ってる。俺はお前の味方だから。みんなそう思ったと思う。だから殴ったことは悪くない。正しかったんだ」




真剣な表情でこう言った蓮がかっこよく見えた。