この世界は残酷なほど美しい



もし美羽お姉さんがまだ入院していたのなら、偶然どこかで流星くんを見かけるんじゃないかって。
中学一年生からの目標だった。だから進んで学級委員にも立候補したり、みんなの中心で活躍しようと頑張っていた。

これも全て美羽お姉さんの約束のため。



下見をしに行った帰り、私は病院に寄ることにした。
数年前と何も変わらない病院にはあの時記憶が綺麗なまま残っている。


流星くんと一緒に折り紙をした場所。
短冊に願い事を書いた屋上。
二人で内緒話をした階段の踊り場。


歩けば歩くほどあの時の思い出がそこにはあった。


そして着いた場所はお姉さんの病室。



ちらりと見るとあの窓側のベッドは誰も使っていなかった。



「退院…したのかな」




私は春さんを探しにフロントに向かう。
そこにはあの頃と変わらない春さんがいた。




「春さん?」




「はい?」