この世界は残酷なほど美しい



きっとお父さんが退院をしたらお母さんとの離婚は成立し、ここから引っ越すかもしれないから。
そうやって前にお父さんから言われた。
だからお姉さんと…流星くんには逢えなくなる。



「月曜日…か。その日お姉さん検査の日だ…。そうなら今日が最後ってこと…だよね…」



小さな声でこう言うお姉さんの言葉に頷く。

唇を噛んでただ悲しさを紛らわすだけ。
すると視界に真っ白のノートが映った。
見上げるとそれはお姉さんが先ほどまで書いていた日記だった。



「奈緒子ちゃんにお願いがあるの。」




この時、私はお姉さんと約束をした。
そしてお姉さんから預かった。なぜ私になんか託したのか問いたださなかったが、きっとお姉さんには未来のことが見えていたのだと思う。




「この日記を、未来に繋げて欲しいの」




「…え?」



「きっとね、私がいなくなったらあの子は泣くだろうから。あの子に伝えられなかったことがここには書いてあるの。だから…お願い。いつかあの子が大人になったら…渡して?」