この世界は残酷なほど美しい



病院に着くとまずお父さんの部屋を訪れた。



「お、奈緒子。今来たか。」



「ねぇ、お父さん。お父さんはもう肺炎になったりしない?」



「ん?どういう意味だ?あぁ、見舞いに来るのが面倒だからならないでって意味か?」




いや、その。
違うんだけどね…。
「また肺炎になって」と言ったら不謹慎にも程がある。
それにお父さんはこんな言葉を望んでいないはずだ。


私って馬鹿だな、最低だな。
ごめんなさい、ごめんなさい。



「お父さんがいないと寂しいから……」



そう言って笑うとお父さんの大きな手が私の頭を覆った。
頭を撫でられるのは嫌いじゃない。
だけど…何だろう。


寂しいんだ。



「美羽お姉さんのところに行ってくる」



私はお父さんの病室を後にし、隣の病室に向かった。
ドアからこっそりと中を見るとお姉さんがそこにはいた。

だけど前見たときより元気がなくて、それに痩せ細っていた。