「お姉さん!私があの子に星の折り方を教えてあげるよ!それならお姉さんが約束破ったことにはならないでしょ?」




「奈緒子ちゃん…」




「大丈夫だよ。私が教える!だからね、ここから見てて!」



私は勢いよく病室を後にした。階段を駆け下りていく。
「奈緒子ちゃん危ないよ」と看護婦さんに何度も注意されたが私は聞く耳を持たずに中庭へ走った。



そしてお姉さんが指差していたベンチに向かうとそこには足を抱え込んでコンクリートとにらめっこする男の子がいた。




「こ…こんにちは」



勇気を振り絞り、声を出すと男の子がこちらを向いた。
一瞬にして私の心が奪われる。吸い込まれるくらい綺麗な瞳はお姉さんにどことなく似ていた。
視線を下に移すと頬には睫毛の影を作る。
こんな美しい男の子を見るのは初めてだった。




「……なに?」



男の子の隣には新品の折り紙。私の胸がうずいた。



「私が教えてあげる!」



「え…?」




「星の折り方!!」