「あはははは!そっか!そうか。莉子を知ってるんだ。」
突然彼は空を見上げて笑いだした。
その行動についていけない僕はただぽかんとそれを見ていた。彼は目に溜まった涙を払い除けて、僕に近寄ってくる。
「取り乱して悪い。聞きたいことがあるんだ。莉子は…元気にしてる?」
彼の目線は僕と同じくらいあった。
「元気というか…うん、かなり」
莉子の元気メーターがどれほどあるか分からない僕はこう答えるしかない。
「そう、良かった。」
「莉子に逢わないの…ですか?ここまで来たのだからまた明日とかにでも…」
僕がそう言うと彼は首を横に振った。
そして小さな声でこう言ったのだ。
「明日から海外に行くんだ。いつ日本に帰ってくるか分からない。もしかしたらもう莉子には逢えないかもしれないな」
え…、と固まっているのもつかの間、彼はにっこりと僕を見て笑った。


