この世界は残酷なほど美しい



帰ろうと思い下駄箱へ向かう。最近ネットで買った星柄の靴を履いて、学校を出ようとしたとき、後ろから誰かがぶつかってきた。



「わっ!」



いきなりのことで体がぐらつくが何とか持ちこたえた。
こういうとき反射神経というものが役立つのだ。



「あっ!ごめんなさい!ちょっと急いでて!!」



後ろを振り返るとそこには女の子がいた。
待てよ、どっかで見たことのある顔だ。



「坂井…先輩」



そう彼女が呼んだ瞬間、彼女が誰なのかを思い出した。
それは少し前、僕が「人間らしい人が好き」と言って告白を断った女の子だった。
いつもなら告白された人のことをあんまり覚えていないのだが、彼女だけは何となくハッキリと覚えていた。
きっと僕の言った返事が印象的だったのだと思う。




「痛くなかったですか?」




「あ、うん。大丈夫だよ。ただビックリしただけ」




僕は笑ってみせる。
何だか最近笑うという行為が好きなんだ。