そうか。
父さんは母さんのために写真を撮っていたのか。
二人の愛を感じたらちょっとだけ照れ臭くなった。
「雅はいい大学に進むことより、立派な職業に就くことより、愛する人とずっと一緒にいることを選んだんだ。だが選ぶのは自分だ。流星もゆっくり考えて選んだらいい。まだ返事をするまで時間はあるから。」
「うん。分かった…ゆっくり考えることにします。」
僕はぺこりと一礼し、職員室を後にした。
オレンジ色に染まる廊下はあまりにも幻想的で涙が出そうになった。
僕の人生だ。
自分で決めなきゃ何になる。
誰かに左右されたくない。
ちゃんと自分で決めなきゃ。
父さんもあんなにも潔く自分の将来を決められたんだ。
僕にだって出来るはずだ。
出来ないことなんてない。
「やってみよう」という気持ちが大切なんだ。
目を閉じて自分の将来を想像してみる。
ハッキリとは分からない。
だけど将来の僕は…
笑っているはずだ。


