この世界は残酷なほど美しい



昼食時で賑わう廊下を通り教室に向かう途中、奈緒子が急に話を切り出した。



「流星くんは…少しでもあたしのこと気にしてくれてる?」




「え?」




「あたしのこと考えてくれてるかなぁって」




ちらりと奈緒子の横顔を見ると寂しそうな表情をしていた。
そうだ、僕は奈緒子に告白をされたんだ。
だけど返事をしていない。
タイミングというか、何て答えたらいいのか分からなかったのだ。



「奈緒子のことはいつも気にはしてるよ…」




「え?」



寂しそうな表情のまま奈緒子は僕を見上げた。
僕はそのまま真っ直ぐ見つめて言葉を並べていく。


奈緒子には隠し事があった。



「僕は気になってるんだ。奈緒子が僕に隠してる秘密。それが気になって気になって夜も眠れないよ」




そろそろ教えてくれてもいいじゃないか。
奈緒子のやるべきことは?


奈緒子から見たら僕はまだまだ青虫のままだから言えないの?



奈緒子は僕の何を知っているの?