この世界は残酷なほど美しい



後ろを振り返るとそこには奈緒子がいた。
少しだけ前髪が短くなっている。


「あれ、奈緒子。今来たの?てゆか前髪切った?」


「うん、ちょっと用事で。前髪分かる?失敗しちゃったんだ」


こう言ってペロッと舌を出す奈緒子。
そう、午前中に奈緒子の姿は無かった。
先生も特に連絡をしていなかったし、ただの遅刻かなと勝手に想像していた。
そしたら結果的に当たっていた。




「何か今日の流星くん、いつもと違うね?何か良いことあったの?」




「…あ、うん。ちょっとね。今まで誤解してたことが解けたって感じかな。」



「そうなんだ。とってもいい顔してるよ。さらにかっこよくなったね」




「そうかな…」




奈緒子は満面の笑みで僕を見つめる。
奈緒子の大きな瞳で見つめられたら正直視線をどこへ持っていったらいいか分からなくなる。だから多分ずっと目が泳いでいただろう。



「ミルククリームパン売り切れねー」



すると購買部のおばちゃんが大声で叫んだ。



僕の…パン!