この世界は残酷なほど美しい



いつ僕はこんなにも素直になっただろうか。
笑ってしまうくらい莉子の前では自分が素直すぎた。
誰かを好きになると体や心が勝手に“素直”という感情を取り入れるのだろうか。

人間って複雑な構造で出来ていると思っていたが案外単純なんだな。
だから面白いのか。



僕と莉子は昨日のテレビ番組の話で盛り上がりながら教室に向かった。



いつもと変わらない日常。
だけど誰かのことが好きというだけで変わらない日常が七色に色づく。

僕は莉子の隣にいられるだけで幸せだった。




…昼休み。
僕は購買に行き昼食を買いに行く。
蓮を誘ったがどうやら愛妻…いや愛する彼女の手作り弁当があるらしく笑顔で断られた。




「クソ、蓮のやつめ」



あのでれでれとしたにやけ顔が頭から離れない。
昼食時の購買は混むから好きではない。
いつも買っているミルククリームパンは今日はあるだろうか。
そんなことを思っていると後ろから制服を引っ張られた。