流星が泣いてるじゃねぇか。
目の前で母親を亡くして、こういう時に支えてやるのが父親だろ。
俺は居てもたってもいられず、屋上へと走った。
その日は快晴だった。
空は眩しいくらい蒼かった。
屋上に行くとベンチに座る雅の姿があった。
俺は慌てて肩を掴む。
「お前!いい加減にしろよ!こんなとこで何してるんだ。早く病室…に…」
言いかけていた言葉を飲み込んでしまう。
何故ならば雅は空を見ながら泣いていたからだ。
声を出さずに、ただ静かに泣いていた。
「雅…」
「美羽と約束したんだ。死ぬまでずっと一緒だって。美羽は約束を破ったりなんかしない。だから俺は…信じたくないんだ」
何て言ったらいいのか分からなくなった俺はただ黙って雅を見つめていた。
ふとベンチに視線をずらすとそこには一冊の写真集が置いてあった。
“Memory”と書かれたシンプルな写真集の帯には…
“あの約束を覚えていますか?”


