「でも雅!お前はそれでいいのかよ!」



『美羽は俺を置いて死ぬわけないんだ。美羽がいなくなったら俺は誰のために生きたらいいか分からなくなる』



そう告げ、電話は切られてしまった。
俺は慌てて病院に向かう。
美羽の病室に着くと、そこには光輝さん、奥さんの百合さん、春、そして流星がいた。

流星は光輝さんに抱きつき大きな声を出して泣いている。
ゆっくりとベッドに視線を移すと眠っているかのように優しく目を閉じた美羽がいた。


美羽の病名ははっきりとは聞いていない。
だが雅からは「良くはない」とだけ聞いていた。

まさか死ぬだなんて思ってもいなくて、居なくなったという実感が無く、涙なんか流れなかった。



「美羽…」



一歩近づき、頬を触るとまだほんのりと温かい。


生と死は何が違うのか。
魂があるか、無いかの違いなだけだと感じた。



「爺ちゃん…なんでパパは来ないの…」



すると流星が震える声で言う。



おい…雅。
お前は何をやってるんだよ。