そう言って家政婦さんが持ってきた紅茶を飲むヒカルさん。
僕は首を横に振り、紅茶を持つ。
色鮮やかな紅茶に映る悲しげな僕の姿。
そんな自分を見たくないと思い一口飲んだ。
その紅茶はいちごの香りのする紅茶だった。



「日記を買ってきて欲しいって言われたのは美羽が入院してから少し経ってからなんだ。雅に頼めよって言ったんだけど…それは出来ないって言ってた。だから俺が買ってきたんだ」



「じゃあその日記を持っているのはヒカルさんでも無いってことですよ…ね?」




「俺じゃないよ。美羽からは預かってない」




「じゃあ…誰が…」




誰が母さんの日記を持っているの?
父さんでもヒカルさんでも春さんでも無ければ…、一体誰?

もしかして…爺ちゃんとか?
あの写真集を持っていたのも爺ちゃんだし…
でも持っていたのならあの時写真集と一緒に渡すはずだ…



ぐるぐると頭が廻っていく。
そのうち目が回りそうだった。