『親父?親父は今から出張って言ってたけど?今帰ってきて準備してるんじゃないかな』



「じゃあちょっと話したいことあるから時間作ってもらえるように言って!」



それだけを伝えて僕は通話ボタンを押した。
そして再び全力疾走をする。
整ったと思った息をまた乱す。でも全然辛くはなかった。
むしろ清々しかった。

理由はきっと…

生きている、と実感できるから。



蓮の家までは数分もあれば着いてしまう。
相変わらずでかい門を潜り、家の中へと入った。
走っている最中、蓮から「勝手に入ってこい」とメールが入ったため遠慮なく勝手に上がらせてもらう。



靴の紐をほどいていると、前から声が聞こえた。



「流星、久しぶりだな。俺に何か用だって?」




それは蓮のお父さん、斉藤ヒカルさんだった。
いつもと変わらないかっこいい容姿をしているヒカルさん。
ピンク色のカッターシャツがとても似合っていた。




「あの!教えて欲しいんです!父さんと母さんのこと!」