それは太陽に反射していた。

莉子の走り去る足音が消えていく。



「何も分かってねぇのに人を傷つけるようなことは言うな。一度傷ついたらもう元には戻らないんだぞ。莉子は莉子だ。精神科に通ってたって莉子だろ?もしまた莉子のことを悪く言うんだったら、顔面無いと思え」



強く握った拳をぐっと抑えた。もし今回も殴ってしまったら停学どころか推薦の話まで無くなってしまう。
さすがに担任の沢村先生もそこまで目を瞑ってはくれないだろう。




僕は胸ぐらから手を離し、そいつを睨み付けた。
滅多に怒らない僕を見た彼は魂が抜けたような表情をしていた。


そして莉子を追うかのように教室を猛スピードで出ていく。




莉子、ごめんね。
僕は莉子をこんな風にしか守れないんだ。
莉子には好きな人がいて、本当ならその人に守って欲しいと思うかもしれない。


だけど、だけど。
僕はその人の代わりでもいいから。



僕に頼ってよ。
僕の存在に気づいてよ。



僕はキミを―…



守ってみせるから。