この世界は残酷なほど美しい



マンションを出ると金髪少年、蓮と合流をする。



「おはよー蓮」



「おっす!学校サボんなよなー。俺すげぇ退屈だったんだぞ」


蓮は僕の頭をぐしゃぐしゃにする。



「ちょっとやめてよ。セットに何分かかったと思ってるんだよ」



「お前は女かよ」



隣で蓮は大きく笑っていた。
そんな姿がどこか向日葵に見えた。
僕はセットの乱れた髪の毛を直し、鼻歌を歌う。




「なんで童謡?」



すかさず蓮は質問をしてきた。僕が歌っていたのは莉子が前に歌っていた童謡だった。
無意識にそれを鼻歌にしていたなんて…
ちょっと自分でも怖くなった。



「べ…別に?ほら最近CMで流れてたから」



なんて誤魔化してみるけれど蓮には全てお見通しなのだ。




「その歌、昨日安野が歌っていたぞ」




クソ…やられた。
僕はすぐに歌うのをやめた。
蓮も奈緒子と一緒で僕の一歩先を歩いていた。

僕が蓮や奈緒子と同じスタートラインに立てる日はいつか来るのだろうか。