この世界は残酷なほど美しい



カーテンの隙間から満月を見上げる。
子供の頃、月にウサギが本当にいるのだと思っていた。
だがそれは誰かが作った作り話で。
信じていた僕は友達から「いるわけない」と否定されたが僕は頑なに「嘘だ」の一点張り。
今思えばすごく恥ずかしいことだ。
だがそんな忘れていた記憶何気ないところでふっと現れる。
それって不思議なことで。
自分の記憶力にちょっと驚いてしまう。



「母さんと父さんは一体どんな約束をしたんだ…?」



静かな部屋に浮遊する言葉。
それは行く当てもなく、空気と中和した。

僕には分からない。
僕には分からない。



自分を否定しながらもう一度眠りについた。




…次に目が覚めたのは月が太陽に変わっていた。
その日差しは眩しく眉間に皺を寄せる。



「なんか体だるい…」



あまり深くまで眠れなかったのか、何だか体が重たかった。
だが今日も学校を休むわけにはいかないと思い、ゆっくりと体を起こした。