この世界は残酷なほど美しい



その日は何だか疲れていたのかすぐに眠りについた。
だが寝苦しく何度か目を醒まし、寝方を変えてみるが変化はなかった。
一時間寝ては起きての繰り返し。
僕は部屋を真っ暗にして眠る習性がある。
この日は満月で、カーテンから覗く月明かりが僕の寝顔を捕らえる。

やめてよ、寝込みを襲うなんて卑怯だよ。
って一番卑怯なのは僕か。



「今は誰のためにも生きていないか…」



“そうか”とどこかで納得する僕と、“じゃあ僕は父さんの何なんだ”と怒る僕が交互で頭の中で言い争っている。

僕は父さんにどう思われたいんだ?
愛して欲しいのか?
そんな訳があるか。
あんなに恨んで、憎んでさえいるのに。


だけど期待されない程惨めなことは無い。
期待されるから人間は成長していくものだと思っている。

でも期待されずにいたら何も成長することなくただ死んでいくだけだ。



父さんにも母さんにも期待されず僕は寂しく枯れていくのだろうか。



そんな予定など僕が描いた未来予想図には載ってない。