「オーストラリアの夜空に流れ星が幾つも流れるんだって。そうしたら私の願いも叶うんじゃないかなぁって。あとエアーズロック!あれも見てみたいの!だって地球のオヘソだよ?」
エアーズロックが地球のヘソだからと言って見たい理由には繋がらないけれど莉子が見たいと思うのだからそれはきっとすごいものだと思う。
瞳を輝かせながら話す莉子の横顔がどこか人間っぽかった。
そして大人に見えた。
僕は決められた道にしか進むことしかできなくて。
ただ漠然とした考えで志望校も決めた。
理由は星か好きだったから。
大好きな星でどうしたいのかなんて考えていなくて。
きっと莉子はT大の天文学部へ行ってもちゃんとやりたいことを見つけるのだと思う。
自分のしたいことが分からないなんて自分が情けなく感じた。
「エアーズロックね…」
名前はよく耳にするが行きたいとは思わない。
だけど莉子の言う国に少し興味が沸いた。


