「ありがとう。優しいんだね」
「幸せは半分ずっこ。あたしだけ食べるのも悪いしね」
美味しそうにチョコレートを頬張る莉子。
僕も一口チョコレートを口に含んだ。
ほんのり甘く、あとから苦さがくる。
だけどまた食べたくなるクセのあるチョコレートだった。
さすが有名って言われてるだけあるな。
「やっぱり美味しい!流星ありがとう」
にっこり僕を見て笑う莉子。
僕は恥ずかしくなりすぐに視線を河へと移した。
「いいよ。莉子が喜んでくれたのなら。」
僕は、それで幸せだから。
「流星は流れ星って見たことありますか?」
「ううん。見たことないよ。見てみたいけどね」
「あたしね、一度でもいいからオーストラリアに行きたいの。」
「どうして?」
この時の僕は踏み出す勇気も無くて。
僕の見ている世界がこんなにもちっぽけだなんて知るはずも無かった。


