とくんと可愛く鳴る心臓が何だか嬉しそうだった。
無意識のうちに体は反応していて自分でもたまに訳が分からなくなるときがある。
「莉子、あのさ…」
言いかけた途中で突然莉子が大きな声を出して叫んだ。
「あー!!それって!!」
指を差して興奮する先には先ほど父さんからもらったベルギーチョコレート。
莉子は目をキラキラさせてそれを見ている。
「このチョコレート知ってるの?」
「知ってるもなにもずっと食べたかったチョコレートです!わわ!どうしたの?これ!」
「父さんからもらったんだ。食べたい?」
莉子の目の前にチョコレートを差し出し、ゆらゆらと揺らすと莉子の瞳はそれと同じ動きをした。
そんなに食べたかったのか。
僕は笑いながら莉子にそれを渡す。
「莉子にこれあげるよ。でもタダじゃダメだよ」
「え?」
「今から僕と散歩しない?」


