この世界は残酷なほど美しい



病院に着いたときはすでに夜になろうとする時間だった。
夕陽のオレンジと夜空の黒が入り交じった色に照らされる病院が何だか不気味に感じる。
ホラー映画がリアルになった感じで寒気がした。
しかも人影なんてほぼ無い。



「いるわけないか…」



ぼーっと病院を見つめていると近くから足音が聞こえてきた。ゆっくりと横を見るとそこには制服姿の莉子がこちらに向かって歩いてくる。


ちょっとだけ運命だと思った。



「莉子?」



「あれー?流星!どうしてここに?」



やっぱりだ。
やっぱり莉子の笑顔を見た瞬間、さっきまでの怒りがすーっと消えていった。
僕は笑顔を見せる。



「ちょっと散歩。体がなまっちゃって」



「それはきっと学校に来てないからですよ!ダメだよ。学校休んじゃ」




莉子は拳を作りこつんと僕の額に軽く当てた。
ドキンと揺れる心臓がどこまでも響いていく。



やっぱりキミのことが好きみたいだ。