この世界は残酷なほど美しい



勢いよくドアを閉めた。
壊れたのではないかと疑ってしまうくらいその音は凄まじかった。
音はどこまでも響き、僕の頭の中で何回もリピートする。
パソコンの前に座り、体を小さく丸めた。
薄暗い部屋にはデスクランプの灯りのみ。
だけどそれが妙に落ち着いた。



「うるさい…うるさいうるさい!」



頭をガンガンと叩き怒りを鎮める。
父さんに僕の何が分かると言うのだろう。
僕のことなんか知らないくせに。
いつ100点を取ったかなんて知るはずがない。
だって僕はそのテストをどこかへ捨てたから。


なのに僕を知っていたかのように言いやがって。

僕はパソコンへ視線を移す。
開いていたページは三日間同じページだった。
それは莉子の病気のこと。

“統合失調症”とは。


何十回読んだ。
何十回調べた。
でも答えは見つからず学校を休んていた三日間、パソコンのデスクトップは止まったままだ。



何だか…莉子に逢いたくなってきた。

そしたらこの苛立ちを莉子なら取り除いてくれると思う。