僕に分かるはずがないだろ。



「あのさ、何であの日病院に来なかったの?母さんのことなんかどうでも良かったわけ?母さんよりもその写真集を作る方がよっぽど大事だったの?」



実はちょっとだけその写真集を見てしまったんだ。
もちろん中身は見ていない。
僕が見たのは最後のページの初版発行日だ。
その日は母さんの命日だった。
父さんが病院に来なかったのはきっとこの写真集の制作をしていたからだと思う。

愛する人の最後よりそんなものの方が大事だったのだと思えば思うほど余計腹が立ってくる。

なんだと思ってるんだ。
母さんの命をなんだと思ってるんだ。

母さんの想いをなんだと思ってるんだ。


行き場のない怒りを僕は必死で自分自身で抑える。


すると父さんが重い空気の中口を開いた。



「流星がそう思いたかったらそう思ったらいい。信じるものを決めるのは自分だから。流星がそう信じるなら父さんは何も言わない」




なんだそれ、試合放棄するのかよ。