この世界は残酷なほど美しい



莉子のことを話すと嬉しそうに話を聞いてくれた。
そして「莉子を守りたい」と言ってくれた。

俺は彼に「キミはなぜ精神科に?」と聞くと彼は「俺は何者か分からないから」と言った。
それ以上は聞けなかった。

やはり人間は一人一人に何かを抱えて生きている。
それを俺は見逃したくはないと強く思った。



だが俺の仕事の転勤が決まり、莉子は病気を変わることになった。
「ごめんな」と言ったら「運命だったらまた逢えるから」と言った。
そんな莉子の姿は凛としていて逞しかった。


莉子は完全に治ったわけではない。
やはり昔のことは思い出したくないのか、すぐに忘れてしまう傾向があった。
だから常にペンとノートを持参。
でも莉子は俺の知らない間に大きくなっていく。


もしかしたら莉子は俺を許してくれないかもしれない。


だけど俺は二度と莉子を一人にはしない。


莉子は俺のたった一人の家族だから。