夜空を切り裂くように、冷たい春の雨が降り出した。


降りしきる冷たい春の雨がキミのことを思いださせる。


見えない翼を背に君が空へと舞い上がったあの日から…


もう、どれくらいの時が過ぎたのかな!?


あの日もこんな風に冷たい春の雨が降っていたよね。


あの時はね、その雨が空の向こうで流す君の涙なんて気づかずにいたんだ。


降りしきる雨に打たれて…雨が悲しみを流してくれるように…涙を雨と偽れるように…ワザと傘をささないでいたんだ。


ねぇ…


君は小さい頃から病気と向き合って生きてきたよね。


その病気のせいでたくさんのことを我慢して、たくさんのことを諦めて来たよね。


いっぱいいっぱい辛い思いをして、いっぱいいっぱい涙を流して…それでも必死に頑張って生きてたんだよね。


そんな君だからね、世界中の誰よりも幸せになって欲しかったんだ。


必死に生きる中で、君は自分だけの夢を見つけて、その夢に向かって歩き始めたのに…


神様はまたキミに意地悪をしたんだ。


どんな時も君は、人に心配かけたくないからって…辛いくせに平気なフリして、泣きたいくせに笑って見せて…自分の気持ちをごまかしてばかりいたよね。


強がることに慣れすぎてしまった君だから、弱さを見せるのが怖かったんだよね、きっと。


君と出逢って、自分の生まれた意味を見つけた気がしたけど…


君がいなくなったときから、また意味がわからなくなったんだ。


君からもらったものはたくさんあるのに…


僕は君に何かしてあげられてたかな?


不器用な僕の魔法で、君の泣き顔を笑顔に変えることが出来てたかな?


ただ今はね、君が空の向こうで病気を忘れて元気に笑ってることを願っているよ。


君が生きたいと涙した未来を、君の分まで生きるから。


ねぇ、明日晴れるかなぁ?


空が晴れてるとき、それは君が笑ってる証拠だと思うから。


だから明日晴れると良いなぁ。