「もう、あたしなら諦めたんだ…だから彼女を幸せにしてあげて。」


そう言ってトシの前を通り過ぎるつもりだったのに、


「待てよ…彼女ってどういう事だよ!?」


腕を掴み、あたしをジッと見詰めている。


「それは、こっちの台詞よ…婚約でもしたの?指輪買ったんでしょ?」


「は??何の事だよ…?」


あたしの言葉を全く理解出来ていないトシ。


その時、社員通用口からは木村さんが退社して来た。