あたしの受けた公立高校は、
家から徒歩10分。



冗談じゃない。
帰りに寄り道もする距離じゃなければ、
家に友だちを呼ぶのも、あんな家じゃ
気が引ける。



筆記試験は全教科空欄、
面接は、なんとかあたしの担任がお願い
したらしいけど、私服、金髪で。

すっごい失礼って分かってたけど、
絶対この高校は嫌だったから。


あたしの母親の母校。
名門高校。




大体、あたしの母親はどうかしてる。
あたしの成績をろくに知らないくせに、
「莉夏はこの高校に行かせます!」
だなんて。
担任は目を丸くして、口開けて。

「考え直した方が…」なんて。
あたしもそう思ったよ。

担任はあたしのこと馬鹿にしたような
感じだけど、それは当たり前。

あたしの成績は5段階でオール2。
なんで受験を受けさせてもらえたのか
さえ分からないよ。

まあ、どうせ母親の裏金かコネだろう。







案の定、その高校には落ちたけどね。