「――この辺、きれいなシャボン玉が飛んでいますね?社長のご趣味ですか?」 「いえ。大変申し訳ありません。給湯室にある洗濯機が壊れてしまったようで…」 「それは大変ですねぇ」 端から見ればただの他愛のない談笑。 だけど、その声の主は、あの時から忘れたことのない、忘れるはずがない、あの雀蜂野郎の声――!! やっぱり、来てたんだあいつも…! 少しでも心を落ち着かせるために、私は一心不乱に食器を洗いつづけた。