「あら。もう先方がいらっしゃったみたいね。後は任せていいからしら?黒崎さん」
「えぇ。大丈夫です」
「すみれさんも早くこの泡だらけの給湯室を何とかしてちょうだい」
そう言い放つと杉本さんはヒールを鳴らし給湯室を後にした。
ううーっ!
くっそー!
私だって気になるっていうのにー!!
「ちょっとすみれちゃん?泡がだんだん増えていってるのは気のせい?」
気を紛らわせるため、またもや一生懸命に食器を洗ってしまった。
ヤバいヤバい。
また杉本さんに叱られるっ。
今度は濯ぎに専念しないと――。
そう思い作業に取り掛かろうとした矢先。
給湯室の前の廊下から紛れも無い声が聞こえた。


