そう決めた私が仕事帰りに向かった場所。
命清流剣術道場。
つまり私の実家だ。
「なんじゃいすみれ。また来たのか。じゃがもうここにはお前の寝るとこはないぞ。有くんのとこに帰るんじゃな」
「うっさいじじい。言われなくてもここにはもう来ないっつーの。ちょっと聞きたいことがあったの」
「聞きたいこと?」
「…母さんのことで」
「…母親のことか……」
「…私、今までずっと何も知らないままだったからさ。両親のこと。
でも、それじゃダメだと思うんだ。
それは逃げてるだけだって。
私は知らなくちゃいけないと思う。父さんが、母さんが、私をどんな想いで産んでくれたのかを」
「そうか…」
じじいはその一言だけ呟くと、道場の道具置場を漁りだした。


