『はい。急にこんな話するのもちょっと変かもしれないですけど…。
あのですね、課長さん。すみれちゃんって、昔からみんなに慕われる存在だったんです。いつもみんなの盾になって守ってくれてたんです。だからみんなも姐さんとか番長とかって慕ってて…』
番長って…。
あいつ一体どんな学生だったんだよ。
『でも、本当は違うんですよ。
すみれちゃんは自分のこと、何一つ私たちには話そうとしないから中々気づけないけど。
本当は繊細で触れてしまえば崩れてしまいそうな、そんなどこにでもいる普通の…ううん、きっと、普通よりもとても弱い女の子。知聡くんのことだって課長さんがいてくれたから向き合えただけで…。課長さんに会えてなかったら今でも逃げて逃げて、抱えきれなくなってどっか行っちゃってたと思うの。
だからね、課長さん!
絶対すみれちゃんのこと離さないで下さいね!私からの一生のお願いです!
用件はそれだけでーす!
あ、それと5月のドームツアーのチケット送っておきましたからー!絶っ対来て下さいねー!」
言い終わるや否や別れの言葉を発する前に切られた。


