ピルルルル。 ピルルルル。 携帯…。 この着信音は電話だ…。 画面を確認して、その名前に少し戸惑ったけど、私は通話ボタンを押した。 「もしもし」 『もしもしじゃねぇ。どこほっつき歩いてんだお前は。早く帰ってこい』 有無を言わせない課長の言葉。 わかってるんですよ私だって。 ちゃんと帰って課長に謝らなきゃって、おめでとう言わなきゃって…。 わかってるんだけど、でも、ここから動けない。