--その頃からだったかしら。



柾の様子が急に変わったのは。





柾は私たちの約束通りあれからフルートを吹くことはなかったわ。




それどころか、今まで消極的だった病気の治療を進んで行うようになったの。




以前の柾は自分の病気をどこか諦めていた節があったから治療もあまり専念してなかったのだけれど。




治るためならどんなつらい治療にも耐えたわ。



手術だって受けた。



それに勉強にも熱心に取り組み始めた。







治療に専念し始めて半年以上経った頃、ついに柾は病気を克服したの。




あの日ほど嬉しかったことはないわ。




家族全員で喜び合った。










そしてその翌日、3月31日の朝。



柾はフルートと共に屋敷から姿を消した。



部屋に一通の手紙を残して。