けど柾はその光景を当然のことのように部屋の窓を開けて彼女を招き入れていた。




私たちには見せたことのないとびっきりの笑顔で。




彼女が捨てたフルートを探しては柾の元へ送り届けていたのだと理解した。







あぁ、その瞬間よ。



私の心にどす黒く醜い嫉妬という感情が生まれたのは。





なぜあんなどこの馬の骨とも知れない傷だらけの少女にそんな笑顔を向けているの?




私には一度も笑顔なんて見せたことがないのに。




私たちが一番貴方を心配して守ってきたのに。




私たちが貴方をここまで育ててきたのに…!!





柾を奪い取られてしまう。




そんな感情が私を支配したわ。




私たちはすぐ柾から彼女を引き離した。