「そうですか…。椿さんらしいわ。椿さんは今でもずっとあの子の帰りを待っているのね…。あの子を信じてるのね……っ!
すみれさん。椿さんには申し訳ないけど、言わせて頂戴。愛する我が子が父親の顔も名前すらも知らないだなんて…そんなの…あんまりだから……。
すみれさん、貴方の父親は八王子 柾。私たちの亡くなった一人息子です」
そう言って会長は首から下げていたペンダントを手に取り、中に入っていた写真を私に見せた。
少し癖のある黒髪。
優しく微笑んでいる男性。
聞くまでもない。
一目見ただけでわかる。
この人が、私の父さん--。
「えええーー!!まさかのすみれちゃん、八王子家の人間だったんだねーー!?」
「マジかよー!?つーことは、命清、あの蜂野郎といとこ同…」
「それ以上言ったら口とるよ守風ちゃん」
てか!
何でナチュラルに私たちの会話に割り込んできてんのよ二人とも!
盗み聞きはよくない!
「「だって聞こえたんだもん」」
口をそろえて言うな!


