「八王子先輩!!」





廊下を進んでいた八王子先輩を呼び止める。




大丈夫。



今ならちゃんと言える。









「…八王子先輩に言わなければならないことがあります」



「…なんだ?」



「5年前、怒りに任せて貴方を傷つけてしまってごめんなさい。それから、中学のとき知聡をいじめから救ってくれてありがとうございました。
…どんな目的があったにせよ、その事実は変わらないから。だからその事に関してはお礼を言います。
でも、私は、貴方を一生許せない。これは貴方も同じはず。だから私はもうこれっきりにしたいと思います。私は二度と貴方の前には現れません。今日が貴方と会う最後にします」






これからも八王子グループとの取引が続くなら会う可能性が出てしまう。



そのために会社を辞めることになるかもしれない。



それでもいいんだ。



わたしはもう憎しみに身をおきたくないから。