チューリップの王子様


お使いと言っても市場まではそんなに遠くない

お城を出て10分も歩けば目的地のパン屋さんが見えてきた

カランッと音を立ててお店に入るとパンの焼ける良い匂いがした


「あ!カノンちゃん!いらっしゃいませー」


私の来店を歓迎してくれたのは、ここの看板娘のスズナちゃん

パン屋の奥さんの一人娘
10歳の女の子

結構な頻度で来店するため仲良くなった


「こんにちは。スズナちゃん」

「こんにちはー!フランスパンですか?」

「うん、グレイ様が好きなんだって!」


毎回フランスパンを買って帰るのも当たり前になっている


「あと少しで出来ると思うんだけど…平気?」

「うん、大丈夫だよ?」


仕事も終わらせて来たし、時間なら全然問題ない