「俺、一年の酒井隼!よろしく!」
学校へと向かう途中、突然、自己紹介をされたので一応、私も自己紹介をした。

「同じく一年の鈴木凛です。よろしくね」
私が軽く自己紹介をすると隣に居る隼は、

「鈴木さんも一年なんだ、よかった」
と言って柔らかく微笑んだ。

そこから隼と学校に着くまでの間、他愛もない会話をした。

初対面でここまで話す人は隼が初めて。
今の今まで初対面の人とここまで話した事は一度たりともない。

隼が話題を出してくれるからかな?
話が途切れる事がなくて沈黙も流れる事はなかった。

多分、それは隼なりの気遣いだったんだと思う。

隼と私は似ていた。
趣味も好きなものも似ていた。

―音楽を聴くのが好きで、空を見る事が好き―

それが私と彼の共通点だった。


この高校で話が合う人と出会えてよかったと胸を撫で下ろす私に隼が笑みを浮かべて、こう言った。

「鈴木さんとは仲良くなれそう」
綺麗な顔立ちをしている所為か、笑顔が映えて見えた。