「何処行くの~?」
私の数歩前を歩いて手を引く、隼に声を掛けると隼は「何処でしょう~?」と楽しそうに私の質問を交わした。


聞いても教えてくれない隼。
何度、聞いても答えは同じだったから終始諦めがちになった私。


――結局、答えにならない答えが分かったのはそれから数時間後だった。


「着いたぞっ!」
張り切って言う隼は楽しそうだ。


目の前には家族連れやカップル、大人数で溢れ返る水族館。
ここは電車を乗り継ぎして来る隣町のそのまた隣。


「チケット買ってくる」
隼は入り口前の受付で二枚、チケットを購入して戻って来た。


差し出された一枚のチケットを受け取った私は隼にお礼を言って一緒に館内に入った。


「あっ!」

「あっ!?」

「マンボウ居る!!」

「まじかよ!?うわっ!!でかいな!!」

館内に入るなり、マンボウを見つけてはしゃぐ私に合わせてくれる隼はやっぱり優しい。
興奮気味の私達は通りすがりの人から笑われても別に気にする事なく、気になるものを見つけたら一緒に見て、会話を弾ませていた。