「これ、大事なものなんだ」 「あ、はい」 「なくしたりしたら、落ち込む所だったよ」 目を細め、ポケットを見つめる彼 「そうなんですか…」 「あぁ、妻の物なんだけどね」 そう優しく微笑む姿からは、本当に奥さんを大切に思ってる そんな感情が読み取れる こんなに喜んでもらえるなら、追い掛けて良かったな そう思っていると、彼が腕時計を見てから私をみる 「雪村さんは、これからお出掛けかな?」 「え?はい、まぁ…」 自分の学校の先生と、なんて事は言えなくて私はただ頷く .