「どうだ、やるか?」
「俺はやります」
……桐生君の目は、はるか先を見ている。
「よく言った、桐生!
お前達は7組だ!
入学式を遅刻する前に行け!
残りの4人にも任せたぞ」
「分かってる。
じゃ、行きますか…日向ちゃん?」
キラキラっとした笑顔を向けられ、小さな目眩を引き起こしそうになった。
「……っ!?」
急に手を取られ、あたしは体のバランスを崩した。
「あ、ごめん。大丈夫?」
「…だ…大丈夫です」
「そっか。
じゃあ、時間ないからちょっと急ぐよ」
「あ、はいっ」
って言うか、手が…っ
桐生君の手がー……!
彼氏いない歴=年齢の負け組のあたしは、もちろん、男の子と手を繋いだことがない。
初めて手を繋がれた…
しかもー…
「あ、速い?」
「だ、大丈夫っ」
「辛かったら言って」
「…はい」
……こんなにかっこいい人、と!
胸がドキドキしていて、前を歩く桐生君に聞こえないかな、なんて不安だった。
熱をもった手が徐々に汗ばむことに、気付かれたくなかった。
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