「まぁまぁ、聖。そうキレんなよ」
……一人、お気楽者がいた。
「恭也もうるせぇよ。
あんたもさ、ボケッとしてないで、早く歩けよ」
「え?あたし…?」
「他に誰がいる」
「…はい、すみません」
低い声を出した麻生君は、そのままあたし達から離れた。
「どこ行くんだよ」
「……だるい」
「帰りには戻って来いよ、な?」
「…めんどくさい」
こっちに振り向かず、スタスタ歩く麻生君の背中に、笑いながら桐生君は質問していた。
「麻生君…いいの?」
「まぁ、大丈夫じゃない?」
あまりにも普通に言うから…
早瀬君が言うことに、返す言葉が見つからなかった。
「おい、心奈」
「な、なに?
…って、なんで呼び捨てなのよ!」
急に名前を呼ばれ、不覚にもドキッとしてしまった。
いたずらっぽい笑みを浮かべるこの変態は、なんで常に笑ってるんだろう…?
「教室、そっちじゃない」
「…へ?」
「俺らは“こっち”な?」
桐生君は、爽やかにあたしを無視した。
そして、廊下の先…ではなく、右に通じる廊下を指差していた。
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