「もぉ~~!
どこに行ったのかと思った!
次、移動教室でしょ?」



そう言って
羅南は沙葉の分の教科書を
渡した。



「あ、ありがと!!!
いつも羅南は優しいね」



ほわわんとした笑顔で
沙葉は羅南に笑いかけた。


すげー可愛い……


たぶん俺は
無意識に沙葉に見とれていた。


その光景を
羅南が勘づいたように
見つめていたとも知らずに。




「羅南?
私トイレ行ってから行くから
先に行ってて」



「ん、了解」