結婚してもうすぐ1年。
まだたった1年なのに。
何があったんだろう。
俺は、どうして・・・・・・言えないんだろう。
違う話ばかりしてしまっていた。
俺は嘘をついてしまった。
見上げた夜空に浮かぶ月は、俺を見てどう思っているだろう。
あんなにも、苦労して・・・・・・手に入れた愛なのに。
今でも、大切で大切で・・・・・・守りたくて仕方がない愛なのに。
「帰ろっか」
「そうだな」
その夜は、直を抱きながら情けなくて涙が出そうだった。
自分自身に問いかける。
どうして?
どうして・・・・・・と。
その答えは、自分でもわかっているはずなのに、わからないフリをして・・・・・・
水谷先生はただの同僚。
気の合う先生。
ただそれだけなんだ。