音楽室の前。
夕日を見つめながら、いろんなことを思い返していた。
いつもこの窓から、会えない七緒のことを想っていた。
すると、直が声をかけてくれたんだ。
ここには直はいない。
もう俺の背中を叩いてはくれない。
何言ってんだろな、俺。
家に帰れば、直がいるってのに。
いつか本当に話そう。
大事な俺の生徒達に。
俺もみんなと同じように迷ったり悩んだり、自分がわからなくなったりするんだよ、と。
避妊の知識を知っているのに、避妊しなかったこと。
愛していない人と関係を続けていたこと。
そして、その当時とても心が寒かったこと。