俺はその夜、直に当時のことを思い出せるだけ話した。
弱くて、だめな俺のこと。
どうして避妊しなかったのか、
どうして・・・・・・愛していないのに体の関係を続けていたのか。
俺は自分に問いかけながら、直に話した。
直は、ただ優しく俺の話を聞いてくれた。
そして、機会があれば学校でその話を生徒達にしてあげて欲しいと言った。
考えたこともなかった。
俺自身の過ち、弱さを、生徒に話す・・・・・・こと。
生徒からどう思われるかわからない。
でも、真正面から向き合えば、きっと伝わるんだと、直は強い口調で言った。
「命の大切さを知らない子が多いって先生話してたでしょ?」
「そうだな。避妊の知識を持っていても、避妊しない。ここ数年でも何人かの女子生徒が妊娠したから。話せるなら、話すべきだな」
直が好きだ。
本当に好きだ。
俺達はふたりでひとつなんだと。
一緒にいると、何倍にも強くなれる気がする。
こんな俺だけど、ずっとずっとそばにいてくれ。
「今日は、ありがとな。また愛情深まっちゃったよ、俺」
今日の直はちょっぴり大人だ。
“私もだよ”なんてことは言わずに、黙って優しく微笑み返してくれた。
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