直は、俺のすべてを受け入れて、愛してくれた人なのに。
俺の娘である七緒のことまで愛そうとしてくれているのに。
あれは、去年の秋だった。
七緒に京都のお土産を渡しに行く俺に、ついてきてくれた。
◆◆◆
「久しぶりなんじゃない?七緒ちゃん」
「そうだな。ずいぶん大きくなってるだろうな」
紅葉していた木々も冬支度を始めた。
公園には、肌寒い風が吹く。
「本当にいいの?直、辛くない?」
「平気!!だって、七緒ちゃんは先生の大事な存在だもん。だから、私も会いたいんだ」
無理した笑顔ではなかった。
心の底からどう思ってくれている笑顔の直を見て、俺はまた直を好きになった。
いつも会うのはこの公園。
俺は、勝手だけど七緒の母親とは顔を合わせたくない。
この公園まで走ってくる七緒が、とても愛らしい。
「遅くなってごめんね」
久しぶりに見た七緒は、髪が伸びて、女の子らしく成長していた。

