「そうなんですけど・・・・・・そうですよね。うん。じゃあ、話してみます」
「どうした?新垣先生らしくないな」
「だめだな、俺。ちょっと疲れてるのかな」
そうだ。
俺は疲れてる。
新1年生の担任として、ちょっと頑張り過ぎていたのかもしれない。
柄にもなく、“新垣新聞”なんてものを今年から始めてしまったし。
「大丈夫?いつでも愚痴聞くよ。無理すんなよ」
「ありがとうございます。じゃあ、昼飯一緒にどうですか?」
「いいね~、食堂で焼きそばでも食べちゃう?」
「いいっすね~!あの焼きそばは最高ですから」
チャイムが鳴り、俺は教室へと向かう。
廊下を歩く。
こうして歩いていても、時々思うんだ。
直、いねぇかな?って。
制服来た直が、“せんせ~、おはよ”って走ってこないかな?ってさ。
疲れてる時は特に、探してしまう。
直のあの声、あの姿を思い出すんだ。
そんなに愛しい奥さんなのに。
どうして隠し事なんかしたんだよ。
俺、自分が情けなかった。
もう、何もかも乗り越えたと思っていたのに。
俺達夫婦には何の障害もないんだと思っていたのに。
隠してしまった。
俺は・・・・・・

